硝子の恋
「体育祭お疲れー!!!」

生徒会室。みんなが先生から差し入れされたジュースを片手にお菓子を食べながらプチお疲れ会をしていた。

「きょーちゃん、今日凄かったね3位だよ?」

「うん、自分でも驚いてる」

運動音痴の私がそこまでできたのってどうしてなんだろ?

ま、いいけど。

「そう言えば綱引き私のクラス勝ったでしょ?
 で、言うんだ。由衣が重いから勝ったんだって。失礼だと思わない」

「思う。チョー思う」

みんなでわきあいあいしていて、私はちらりと時計を見た。

時計は5時半を回っている。

「私バイトがあるから先帰るね」

「こんな時まで大変だね。くれぐれも痴漢には気をつけてくれたまえよ」

由美ちゃんが仙人っぽく言うと、周りが爆笑した。それにつられ私も笑う。

「ダイジョウブデース。私みたいなブス襲う人なんていないから」

「じゃあねー」

「うん、また明日ー」

「筋肉痛で休むなよー」

それぞれいろんな事を言われて教室を出た。

それからカバンと一緒に持っていた靴入れから靴を出す。

前の墨汁事件から学んだ事は、大事な物は持ち歩きなさい。

という事だった。

そして玄関までたどり着くと、自分の棚を見る。

そこにはびっしりと虫が入っていた。

秋の虫っていうの?

コオロギとか、バッタとかキリギリスとか。

これを藤井さん達が自分たちでやるとは思えない。

きっと男を使ってやったんだろうなぁ。

佐藤さんは男子に人気だからなぁ……。でもすぐ彼氏が変わるのは性格のせいだって噂もある。

佐藤さんは美人だけどちょっときつい人で、おまけにわがままらしい。

藤井さんとつるんでいるのだって、私をいじめるのが楽しいから。

ただそれだけだと、誰かが言っていたのを聞いた。

成績も優秀で、先生達はごまかされているけれど、藤井さんより酷いことをすることもある。

まぁ、この棚はもう使うことがないから好きにしたらいいよ。




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