硝子の恋
「お兄さんの好きな人って誰?

 やっぱ、喫茶店の人?」

私が働いている喫茶店は人が少ない。私と矢野さんのバイトが2人。パートの阿部さんで1人、そしてフリーターの吉住さん。そして店長。

よくこれだけの人数で回せれるかというと吉住さんがよく働いているからだった。

私は吉住さんとあまり話したことがない。私は学校が終わってからのバイトで、吉住さんは昼のバイトだったから。

でも吉住さんと少し話した事もあるけど、凄くいい人だった。

……あのおじいさんがいなければ本当にバイトなんだよ。

……と、話はそれた。今は政さんの好きな人を聞いていたんだ。

「アニキの好きな人……ねぇ

 アニキに直接聞いたワケじゃねーし……」

「そっか……そうだよね」

政さんならモテるんだろう。背も高かったし、顔も並より上。そしてなにより、この前見せた私へのさりげない優しさ。

ああいうのを紳士って言うんだよね。

「お兄さんなら、告白したら誰だってOKしちゃんじゃないの?」

「がー!止めてくれよ!そんなこというの!!」

なぜか誠君が怒る。

いいじゃん。

格好いいし、自慢のアニキなんじゃないの?

私にお兄さんがいてそれが政さんなら自慢して歩くね!

「いいなぁ誠君はあんなお兄さんがいて」

「んー、まぁ色々あるけど、自慢のアニキだし?」

……なんだ、やっぱり仲いいんじゃないか。

「お兄さんに彼女が出来てもいびっちゃダメだからね」

「しねーよ、そんなこと」

誠君はちょっとむくれた様子で私に言った。

おおう、沈着冷静な生徒会長という全生徒のイメージが崩れそうだ。

「ま、好みが似てるから取り合いになる可能性もあるかもな」

誠君と政さん、二人に好かれる女の人ってすごいとおもうんだけど……。

見てみたいな。きっとステキな人なんだろうな。
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