硝子の恋
駅の途中、セコマのあたりで偶然1人で歩いていた佐々木さんと出会った。

すると佐々木さんは私を無視するんではなくて顔を隠すようにうつむいて早足で駅まで逃げるように去っていった。

……何かしたっけ私?

その後、私も駅に着いたけれど、佐々木さんは私を見て青い顔をしていた。駅だけじゃない。電車の中でもだ。

そんなにイヤなら別の車両に行けばいいのに、私が見えるギリギリの位置で、おどおどと私を観察してくる。

……多分、明日でも私をからかうネタにしたいのだろう。

……それにしても、1人じゃ本当に何もできないの?

なんなのこの人、3人がかりじゃないと1人すらいじめられないの?

私は無視して教科書を開いた。

中の下の成績としては頑張んなきゃだし?

やがて降りる駅になり、再び佐々木さんの方を見ると、佐々木さんはビクっと怯えた表情で私の顔を見た。

残念でした。

私はあんた達とは違うの。

いじめとかキライなの。

わかる?

ふと、佐々木さんが今日のプリント、つかいじめのアンケートをなんて答えたのかが気になった。

まぁどうせ、たいしたことは書いてないんだろうけど。

いじめがない学校……ねぇ?

そんなの今のご時世、ないんじゃない?

いじめられてる方が悪いなんて言ってるようじゃなくなんないよね。トーゼン。



そういえば、誠君の絵はどうなったんだろ?

もう2日はたってるし、絵の具も乾いたんじゃないかな?

うん、明日行ってみよう。

そう考えると、足取りが軽くなった。
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