硝子の恋
とうめい
誠君は前に私の絵を見て褒めてくれた。
でも
実際に美術部に入ったら、それはもー最低最悪の悪評価をつけてくれた。
「山下さー、点で描こうとしてるよね。違うんだよ。絵は面で見なきゃ」
「部長、入ったばっかりの山下先輩に対してひどくありません?」
「そうですよー。山下先輩って、今まで絵を描いたことなかったんでしょ?」
「うるさいなぁ、これは愛のムチだ!わかるか」
後輩に部長づらして誠君は説教を始めようとした。それを私が慌てて止める。
「ね、ね、じゃあ、どういう風に描けばいいの?」
シロウトの私にはさっぱり分からない。
「んー、たとえばこの石膏像、この面は影で黒くなってて、でもこの面は光で白いだろ?」
「うん」
「だからここは黒く塗ってもいい。でもこの黒は全体的に見て一番黒じゃないんだ」
「うん?」
「一番黒いのはここ。これを中心に面を作っていく」
「……うん……」
どうしよう、さっぱりわからない。
そんな私に気がついたのか、誠君は苦笑いでクロッキーブックを私に返した。
「まぁ数描くうちにうまくなるって。センスがあるのはわかってるんだから」
「……センス……あんのかなぁ?」
「あるよ、センス。でもいまはセンス以外が透明だから何色にでもなれる」
1人悦に入る誠君を無視して再び石膏像と向き合う。
面と点……
たしかに私、一点しか見ないで描いているような気がする。
って、確かに描くときは一点しかかけないけれど、そうじゃなくて、全体を見て、バランスを取るとか、そういうことが抜けてるのかもしれない。
「そうだ、30秒デッサンをしよう」
「30秒デッサン?」
「30秒の間にいかに、形をとらえるかが問題なんだ。山下みたいなヤツにはぴったりだよ」
どーせ、私は一点しかみていませんよー……
そうと決まれば、美術部員達が集まってモデルのじゃんけんを始めた。私は5番目。
……どうしてみんな、30秒で描けなそうなむずかしそうなポーズとるかな?
どうやら、私、生徒会だけじゃなくて美術部も学校の好きなところになりそうです。
でも
実際に美術部に入ったら、それはもー最低最悪の悪評価をつけてくれた。
「山下さー、点で描こうとしてるよね。違うんだよ。絵は面で見なきゃ」
「部長、入ったばっかりの山下先輩に対してひどくありません?」
「そうですよー。山下先輩って、今まで絵を描いたことなかったんでしょ?」
「うるさいなぁ、これは愛のムチだ!わかるか」
後輩に部長づらして誠君は説教を始めようとした。それを私が慌てて止める。
「ね、ね、じゃあ、どういう風に描けばいいの?」
シロウトの私にはさっぱり分からない。
「んー、たとえばこの石膏像、この面は影で黒くなってて、でもこの面は光で白いだろ?」
「うん」
「だからここは黒く塗ってもいい。でもこの黒は全体的に見て一番黒じゃないんだ」
「うん?」
「一番黒いのはここ。これを中心に面を作っていく」
「……うん……」
どうしよう、さっぱりわからない。
そんな私に気がついたのか、誠君は苦笑いでクロッキーブックを私に返した。
「まぁ数描くうちにうまくなるって。センスがあるのはわかってるんだから」
「……センス……あんのかなぁ?」
「あるよ、センス。でもいまはセンス以外が透明だから何色にでもなれる」
1人悦に入る誠君を無視して再び石膏像と向き合う。
面と点……
たしかに私、一点しか見ないで描いているような気がする。
って、確かに描くときは一点しかかけないけれど、そうじゃなくて、全体を見て、バランスを取るとか、そういうことが抜けてるのかもしれない。
「そうだ、30秒デッサンをしよう」
「30秒デッサン?」
「30秒の間にいかに、形をとらえるかが問題なんだ。山下みたいなヤツにはぴったりだよ」
どーせ、私は一点しかみていませんよー……
そうと決まれば、美術部員達が集まってモデルのじゃんけんを始めた。私は5番目。
……どうしてみんな、30秒で描けなそうなむずかしそうなポーズとるかな?
どうやら、私、生徒会だけじゃなくて美術部も学校の好きなところになりそうです。