硝子の恋
チャイムが鳴る。いつものお昼ご飯。

私はお弁当を持って、放送室まで行こうとした。そこで誠君に捕まった。

「山下!こっちこいよ!!」

「え?」

誠君は混乱する私の事なんてお構いなしに、私のウデをつかむとぐんぐんと歩いていった。

先にあるのは……

「生徒会室?」

なんで?生徒会室って仕事あったっけ?

それに仕事していいのは放課後だけじゃなかったっけ?

「おそ~い!」

生徒会室の扉を開けると由美ちゃんが文句を言ってきた。

集まっているのは生徒会2年メンバー全員。

「先食べちゃおうと思ったんだからねー」

「いいや、きょーちゃん来たから食べちゃえ」

「今日ちゃんも早く!」

由美ちゃんや由衣ちゃん達が私を呼ぶ。

なんで?

「びっくりしたろ?先生に頼んで、昼も生徒会室を解放してもらえることにしたんだ」

得意げに話す誠君。

……ソレって、私のため?

「これで山下も寂しくないだろ?」

「……して」

「え?」

「どうしてこんなことするの!!?

 今は私1人がいじめのターゲットだからいいよ?

 でもこんなことして、みんながいじめられたらどうするの!!?」

叫び声は廊下にも響いた。

「山下……」


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