硝子の恋
その日は生徒会でも散々だった。

言われたプリントの誤字脱字。

センセーから渡されたプリントは1枚足りず。

いらいらしていた私に、「カルシウムだよ」って由衣ちゃんがカルシウム入りのお菓子をくれた。

「で、何があったの?」

興味津々なのは由美ちゃん。その横では我知らずと言った感じで聖子ちゃんが自分の仕事をしていた。

「あのねー……誠君がね……」

今日の朝の事を話すと、みんなが渋い顔をして私を見ていた。

「……カイチョーって猪突猛進型だからねー……」

「そうそう、まっすぐしか見えてないし、突っ走るからねー……」

「……悪気があったワケじゃないんだけどね……先のことを考えないから……」

みんながため息をうつ。私だってため息くらいしたいよ。

「まぁ、誠君もきょーちゃんの事を思ってやった事だし……」

それは、分かる。でもそんな事する前にもうちょっと考えて欲しかった。

「流石に教室までは行けないけど……でも、ここなら大丈夫だから、いじめられたらココに逃げといで」
 
うん、ありがと。

優しくされるのに慣れていない私はちょっとの事でも嬉しくて涙が出る。

それに由衣ちゃんがよい子よい子してくれた。

「それにしても、きょーちゃんも鈍いのがいけないとおもうよ?」

「ほへ?」

鈍い?

何に?

藤井さん達にいじめられて、けろっとしているところとか?

「あー、何考えてるか分かるけど、ソレは違う。

 私が言いたいのはカイチョーはきょーちゃんを好きだって事」

え?

「またまた、そんなご冗談を」

「え?きょーちゃん気がついてなかったの?」

「うそ!!!?」

え?みんなさも当然みたいな反応何?

「カイチョーかわいそうに……」

「まさか、私みたいなの好きになるブサイク好きなんていないよ」

「きょーちゃん、自分で言っているほどブサイクじゃないよ。まぁ美人でもないけど」

……む。むむむ……

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