もう、限界だから。〜両片想いの溺愛同盟〜



「悪い、今日バイトだから」


こちらも撃沈で。
これはひとり映画が確定かもしれなかった。


「健斗、バイト多いの?」
「あー、今人足りてないみたいで結構入ってる」

「そうなんだ、忙しいね」


これから先も、バイトに健斗をとられそうな気がして、気分が重くなる。


「てか、親からもらった映画チケット見せてみ」
「えっ、あ……うん」


健斗に言われた通り、そのチケットを鞄から取り出して手渡す。

健斗はチケットを見るなり、ため息をついた。


「な、何……」
「やっぱり。お前これ、前売りチケットだから。
別に今日行かなくてもいいんだけど」

「えっ、嘘!」


思わずそのチケットをとって見てみると、確かに“前売り”という文字が書かれてあった。

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