もう、限界だから。〜両片想いの溺愛同盟〜
これから唯香と呼ばれる……だなんて考えたら、嬉しい気持ちになる反面。
健斗のことを、“健斗”って呼ぶ女子がいないため、この際勇気を出して言おうと思った。
『じゃあ私も名前で呼ぼうかな』
平静を装いながら、内心はドキドキと心臓の音がうるさくて。
それでも気持ちを抑えながら、思い切って言ってみた。
『別にいいけど』
この時健斗は、さらっと肯定してくれて。
その日から私たちは名前呼びへと変わった。
最初は名前呼びに変わり、周りから“付き合ったのか”と何回も聞かれたけれど。
日が経つうちに、そう言われることは少なくなっていった。
未だにまだ聞かれたり、怪しまれたりすることはある。
もちろん、そんな関係ではないけれど。