もう、限界だから。〜両片想いの溺愛同盟〜
*
それから時間はあっという間に過ぎ。
「あー、もう帰らないとね」
「……そうだな」
帰る時間がやってきた。
帰りたくないなって、素直に思う。
「じゃあ行くか」
健斗は今日、映画に行くからってわざわざ電車できてくれたらしく、駅までは一緒だった。
だけど、健斗と私の最寄駅は反対方向。
つまり、駅に着いてしまえば離れ離れで。
駅までの帰り道、寂しさのあまり健斗のシャツをそっと握ってしまった。
「……何、そんな顔して」
健斗が私を見て笑う。