もう、限界だから。〜両片想いの溺愛同盟〜
「あの、お客様。
残念ですが店前に防犯カメラが設置されていて、場合によってはこちらから訴えることも可能なのですが、この状況をどう説明しますか?」
スラスラと敬語で話す健斗に対し、ふたりはだんだんと顔色を悪くした。
「もし、こちらが何か無礼をしたのなら謝ります。
しかし、何もしていないのであれば……」
「……ちっ、もういいよ」
「こんな店、誰が行くか」
ようやくふたりは逃げるように、私から離れて背中を向けて歩き出した。