もう、限界だから。〜両片想いの溺愛同盟〜
「まあ、気になるなら試してみれば?」
「は……?」
「背伸びしたら、キスできるかどうか」
直球でそんなことを言われて、平気なわけがなかった。
さらに熱がこもり、手で顔を仰ぎたくなるが、態勢が態勢のためそれができない。
「し、しない……するわけない」
「へぇ、残念」
残念って、そんな意地悪そうに笑われても、本気として捉えられるはずがない。
「健斗、そろそろ離して……じゃないと人が来るかもしれないから」
嘘。
本当は離してほしくないけれど。
このままだと色々耐えられない。
「誰か来たら離す」
「まだ本の整理も終わってない」
「うるさい」
「う、うるさいって……んっ…」
私は正論を言っているだけなのに。
そう続けて言おうとしたけれど、それはできなくて。
まるで言葉を制するようにして、健斗に唇を塞がれてしまった。