もう、限界だから。〜両片想いの溺愛同盟〜
口を開くことができなくて、今健斗にキスされているのだと気づく。
ど、どうして健斗にキスされて……!?
混乱する中、健斗の胸元を押すけれど彼は動かない。
そして顔を動かそうとすれば、ようやく健斗に唇を離された。
「け、健斗……何して」
私は今、好きな人と……キス、したのだ。
恥ずかしさでいっぱいになるあまり、涙目になる。
「これぐらいでそんな反応してんだ?」
「へ……」
「恋人のフリするなら、これくらい慣れねぇと」
あくまで、恋人のフリ……なのに。
キスまでする必要ある?
「ふたりの時はいつも通りでいいんじゃ……」
お願いだから、そうしてほしい。
簡単に好きでもない女子にキスできるだなんて、悲しい気持ちでいっぱいになるから。