もう、限界だから。〜両片想いの溺愛同盟〜



「ため息なんかついて、どうした?」
「わっ……びっくりした」


突然誰かに声をかけられ、油断しきっていた私は本気で驚いてしまう。

勢いよく隣を見れば、そこには……健斗が立っていた。



「健斗!びっくりしたじゃんか」
「なんか立ち止まってため息ついてるから、変な奴だなって思って」


話しかけられて嬉しかったけれど、その気持ちがバレないように隠しながら話す。


「ため息じゃないから」
「そうなのか?明らかに安心しきってた顔してたけど」



思わずギクッとしてしまう私。
まさにその通りだったから、なんて誤魔化せばいいのかわからなくなって。


「こ、今年も同じクラスみたいだね!よろしく!」
「……ああ、そうだな。2年もよろしく」


無理矢理話を変えてみれば、健斗はそれ以上追求することなく、軽く微笑みながら言葉を返してくれた。

< 5 / 269 >

この作品をシェア

pagetop