もう、限界だから。〜両片想いの溺愛同盟〜
健斗の登場で、私を囲う女子が一瞬静かになった。
そのタイミングを見計らい、私は健斗に挨拶する。
「健斗、おはよう」
少しだけ、不機嫌な健斗に話しかけるのには勇気がいったけれど、ちゃんと『おはよう』と言えた。
健斗はちらっと私を見たかと思えば、何も答えずに椅子に座る。
えっ……無視、された?
明らかに健斗は私のほうを見たというのに、何も返してくれない。
いつもなら挨拶し返してくれるのに。
いつもと違う健斗の反応に困っていたら。
「……唯香って、ひどいやつだよな」
ようやく彼が口を開いた。