「Last note」〜特性を持つ者へ3
「トイレの鏡を割るんぢゃなかったな。
凶器のナイフから、あずみさんとは別の血液が検出された。」

池田透の左手の中指の傷跡を、
本人に見せつけると理解したようだ。

「…っっ!!」

観念した池田透は、半透明のままで
とても奇妙な姿だった…。

俺に"魔性"をかけられた衝撃で、
中途半端な状況に陥っている。

「後は署で話を聞くよ。」

そう言って俺は烏丸と共に彼を連行した。

隣の病室で待機していた難波さんは、誉を連れて病室に戻ってきた。

「夏希ちゃん、なんで…。」

悲しそうな顔で夏希さんを見ると、
夏希さんは何も言わずに誉から視線を逸らし、
難波さんに連れて行かれた。
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