「Last note」〜特性を持つ者へ3

メガネを外した櫂の目付きは、変わる。

いつもは少し垂れ目の綺麗な二重なのだが、
"治療"に入ると、目ヂカラが入り奥二重になる。

「……"治療 開始"…。」

左手をまず、お腹にかざす…。

しばらくすると右手を使って、
指を器用に動かしていく…。

その仕草はまるで、
本当に手術をしているかのようだ。

「櫂って人、身体の中が透けてでも見えるのか?」

"治療"の光景を不思議そうに誉がみとれている。
「そんな感じらしいよ。」

「…5分経過。」

助手のさつきさんが時間を計り伝える。

「傷の治療は完了。
これより"ヒーリング"を行う…。」

櫂の"ヒーリング"は、心の治療の事だ。

今回の事件は友人の共犯者もいた。
その悲しい事実を忘れさせる為にも誉が頼んだらしいが…。

その時、眠っていたはずの
あずみさんの手が櫂を止めた。
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