Last Spring ラスト スプリング

３．．．ハルジオン〜追憶

気付くと走り出していた・・・。視界がぼやけてくる。

優はぼやけた暗闇の中を、ネオンの光だけをたよりにして、ひたすら走っていた。

さっきからずっと彰の言葉が頭の中で、
グルグル回っている。

「ユウスケは心臓の病気で死んだんだ」

「優にとても似てた」

「美里を大切にしてたし、美里にも大切にされてた」


一筋の涙が優の頬をつたっていく。

−知らなかった−



美里が時々見せる、寂しそうな・・・・
不安そうな顔の、理由。


時々、影で泣いてた理由。
ずっとずっと・・・・

辛かったんだ。


「くそっ！どこにいるんだよ！！」


優は呟いた。
まだ初春なので、六時半すぎはさすがに暗い。