僕の1番大切な人
姉さんは、家事をしながら、僕の話し相手にもなってくれた。

普通の会話をしてるだけなのに、とても幸せな楽しい時間だった。

そして、食事が終わる頃には、もう7時半を過ぎていた。

『ブイヤベース美味しかった、本当に』

『嬉しいな、じゃあ、また作るね』

『うん、ありがとう』

このまま帰る方がいいのか、もう少し居てもいいのか…


あと少し、一緒にいたい…


そう思った。

『コーヒー入れるね。そうだ、今日は泊まってく?あの人の着替えがあるし。明日は学校でしょ、ここからの方が近いし。後で客間の支度するわね』


嘘だろ…


兄さんが居ないのに、本当に僕が泊まってもいいのか…

でも、そうだよな、姉さんにしたら、僕は、ただの義理の弟。

何のためらいもないんだ。

だったら、僕も…

普通に泊まらせてもらえばいいんだよな。


この気持ちを隠して。


頭の整理がつかないままだったけど、僕は笑顔でひとこと言った。

『ありがとう、じゃあ、今日は泊まってく』

僕は、かすかな声の震えに気づかれないか、心配になった。





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