僕の1番大切な人
『凌馬君ごめんね、お兄さんのことを苦しめてしまって』


なんで姉さんが謝るんだ。


『そんなこと、本当に言わないで。姉さんは何も悪くないよ、全然悪くない』

僕の、精一杯の言葉。

姉さんは、僕のことを泣きそうな顔で見つめた。

『愛美さん、凌馬の言う通りですよ。それは浮気をしていい理由にはならない』

『...二人とも優しいね。あの人も優しいのよ。私を責めたりしないの。だから...私はこのままでいいかなって、浮気をされても、そう思って生きてきたの』


姉さんは、ずっと苦しんで来たんだ。


たった1人で…


僕は、何も気づいてあげれなくて、ただ、自分の好きだって感情で、浮かれたり落ち込んだりしてただけだったんだ。


本当に、僕は最低だ。


姉さんは、それからしばらく話して、そして眠った。

きっと、疲れたんだろう…







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