僕の1番大切な人
部屋の小さめのテーブルの上には飲み残しのワインが置かれている。

僕は、ユウとまだ話したかった。

姉さんは、もう深い眠りに落ちている。

『ユウ...今日はいろいろありがとう』

『いや、こっちこそ、楽しかったよ、ありがとう』

前より少しよそよそしいことは、お互いが感じていた。

『ユウの気持ち、聞きたい』

ユウは、ゆっくり考えて答えた。

『うん...そうだな。俺もお前ときちんと話したいって思ってた。俺は、凌馬には本当に悪いって思うけど、やっぱり愛美さんが好きだ。ズルいよな、俺。親友の好きな人を好きになるなんて』

ユウは、すごく辛そうだった。

今まで、本当にユウは僕を助けてくれた。

感謝してもし足りない。

こんな良い奴いないって思う。


姉さんが、もしユウと結婚したら...


理想的な夫婦になる...だろう。

絵に書いたような美男美女。

姉さんは、僕といるよりも、ずっとずっと幸せになるんだろう。

そんなことが頭をよぎり、胸が締め付けられる思いがした。







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