僕の1番大切な人
『ユウ、姉さんに告白するのか?』

ユウは、小さくうなづいて答えた。

『そうしたい』

『...そっか...』

不思議と、最初感じていた腹立たしさは、もう消えていた。

時間が解決したのか、それとも、それだけユウが真剣だからか。

『俺は告白する、凌馬は?』

すぐに言葉が出ない。

『...姉さんのこと、僕はずっと前から好きなんだ。中学生のころからずっと憧れてた。もう、目の前から姉さんが居なくなることが考えられないし、怖いんだ』

『...そうだよな、でもさ、好きな気持ち、ずっと一生黙ってるつもりか?凌馬は、結婚もしないで、ずっと愛美さんを思ってるつもり?』

一番困る質問だ。

そこには自分でもずっと触れずに来たんだ。

『...』

『俺は、告白してもフラれると思う。愛美さんは、ご主人、お前のお兄さんを愛してると思うからさ。普通なら、すぐに別れるよ。ずっと我慢して一緒にいるのは、好きだからだろ、きっと。それでも、言わないで後悔するより、言ってフラれる方がいいよ』

『ユウには何でもわかるんだな。姉さんが兄さんの浮気を知ってるって言ったのも。お前はすごいよ。姉さんが兄さんとの結婚生活を選ぶのか、ユウを選んで新しい人生を歩むのか。でもさ、姉さんが僕を選んでくれるなんて、どうしても思えないし、自信がないんだ』

それが、本音だった。

僕は、意気地がない。

フラれたら、もう2度と姉さんに会えなくなるようで、姉さんに嫌われるようで...


本当に怖いんだ。







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