僕の1番大切な人
姉さんへの想い
姉さんの居場所?

兄さんは、僕に姉さんの居場所を教えたんだ。

僕は、悩む間もなく、そのホテルに急いで向かった。

勝手に足が動いたんだ。

『ストーカーだな』

そう自分で言いながら、ホテルの前までやってきた。

少し息が切れている。


兄さんは、僕に姉さんを託したんだ。


自分は、あの女性と一緒になるのか?

どちらにしろ、兄さんは…自分を愛してくれている姉さんを捨てたんだ。


僕は、姉さんに告白するべきか?


好きだって言うべきなのか?


どうしよう、部屋まで押しかける?


ここで待つのは、本当のストーカーだ。


夢中で来たものの、やっぱり最後まで優柔不断だな、僕は。

『凌馬…君?』

ハッとして声の方に振り向いた。

『…姉さん?』


夢の中では会えなかった姉さんが、そこに立っていた。


お願いだ、もう、消えないで…


『あの人に聞いたのね、ここにいるって』

姉さんの笑顔の奥に、明らかに寂しさを感じた。


深い寂しさを…


『ごめん、ストーカーみたいなことして』





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