トリップしたら国王の軍師に任命されました。
「そうか。あんなに美しいドレス姿の軍師は、世界中探してもお前だけだろうな」
「またまたあ。口がうまいんだからあ」
笑った明日香を、ジェイルのアクアマリンの瞳がとらえた。そこに明日香が映るのが見える。まるで海の中にいるように。
「じゃあ、これからも末永くよろしく。俺の王妃で軍師のアスカ」
「うん」
明日香が頷くと、「では早速」と言わんばかりの勢いで、ジェイルが覆いかぶさってきた。
「あ、あのう、ちょ……」
ジェイルの下になった明日香は恥ずかしさで顔を隠す。
「もう待てない。どれだけ待ったと思っているんだ」
プロポーズされてから、もう何か月も経っている。明日香はジェイルがそれだけ自分を望んでくれていたとわかると、嬉しくなった。
抵抗をやめると、ジェイルの手の動きも優しくゆっくりになる。深いキスをしながら明日香の夜着のリボンをほどき、あらわになった胸に唇を寄せた。
ジェイルの体温に、いつしか明日香の不安も緊張も、砂糖のように甘く溶かされていた。