トリップしたら国王の軍師に任命されました。
兵士一行は、ジェイルが国王着任宣言をした広間に到着した。明日香もどさくさに紛れ、広間の中に侵入した。
「アスカ。どうして一緒にいるんだ」
すぐバレてジェイルにつっこまれた。
そんな明日香を横目に、兵士たちはジェイルと重臣が集まる広間の中央に、アーマンドとビアンカを並んで座らせる。
ビアンカのドレスは汚れ、髪は乱れ、うっすら嫌な匂いすらした。
明日香に向かって叫んだ彼女はもうおらず、憔悴しきった顔でぼんやりと宙をにらんでいる。
「私の方が聞きたいんだけど。これはいったいどういうこと?」
アーマンドの横に立って質問すると、ジェイルは難しい顔をして黙る。代わりにバックスが口を開いた。
「ちょうどよかった。戦の前、王妃さまを襲った犯人を今、ここへ捕えてきました」
「えっ?」
明日香はぽかんと口を開けてしまった。どこにも犯人らしき人物がいないから。いるとしたら、隣で縛られているこの二人……なんて、まさか。
「親衛隊長、アーマンド。お前はビアンカ王女に特別な感情を持つ余り、システイン国を裏切った」
バックスの言葉が広間に響く。
「ビアンカ王女のために、アスカさまを暗殺しようとしただろう」
「私はそんなことはしておりません」