トリップしたら国王の軍師に任命されました。

 兵士一行は、ジェイルが国王着任宣言をした広間に到着した。明日香もどさくさに紛れ、広間の中に侵入した。

「アスカ。どうして一緒にいるんだ」

 すぐバレてジェイルにつっこまれた。

 そんな明日香を横目に、兵士たちはジェイルと重臣が集まる広間の中央に、アーマンドとビアンカを並んで座らせる。

 ビアンカのドレスは汚れ、髪は乱れ、うっすら嫌な匂いすらした。

 明日香に向かって叫んだ彼女はもうおらず、憔悴しきった顔でぼんやりと宙をにらんでいる。

「私の方が聞きたいんだけど。これはいったいどういうこと?」

 アーマンドの横に立って質問すると、ジェイルは難しい顔をして黙る。代わりにバックスが口を開いた。

「ちょうどよかった。戦の前、王妃さまを襲った犯人を今、ここへ捕えてきました」

「えっ?」

 明日香はぽかんと口を開けてしまった。どこにも犯人らしき人物がいないから。いるとしたら、隣で縛られているこの二人……なんて、まさか。

「親衛隊長、アーマンド。お前はビアンカ王女に特別な感情を持つ余り、システイン国を裏切った」

 バックスの言葉が広間に響く。

「ビアンカ王女のために、アスカさまを暗殺しようとしただろう」

「私はそんなことはしておりません」

< 131 / 188 >

この作品をシェア

pagetop