トリップしたら国王の軍師に任命されました。
『……市にある船川古墳から、古代の武器と思われるものが出土しました』
「あら、これすぐ近くじゃない」
明日香はハッと目を開けた。テレビには、何度も行ったことのある古墳の映像が流れていた。元は大きな前方後円墳が削平されて、ただのこんもりした築山となっている、残念な古墳。
『発見されたのは、長い槍状のものです』
ソファから転がり落ちるようにして、明日香はテレビ画面に近づく。そこにはまったく錆びついていない槍が。
『中世ヨーロッパのものと推測されていますが、新品同然の状態で発見されたということです。詳細は調査中です』
明日香は呆然とした。画面で見た槍は、夢で外国人たちが持っていた槍そっくりだった。やけに柄の長い槍。
(彼らの落とし物が、なぜ近所の古墳に? しかも、新品同様って……)
一度始まった胸騒ぎは、大きくなるばかり。
(あの夢は、何かのメッセージなのかもしれない)
居ても立ってもいられなくなった明日香は、ゆっくり立ち上がった。
「ちょっと出かけてくる」
「え? ご飯は?」
「すぐ帰ってくるから大丈夫。行ってきます」