トリップしたら国王の軍師に任命されました。
「残念ですが、今システイン軍はとても不利な状況にあります」
彼は順を追って説明する。
まず、明日香が川に飲まれた二日後、徹夜で帰還したジェイルたちはすぐ明日香の捜索を開始。しかし、ほとんど時間が経たないうちにカルボキシル軍が到着。
ジェイルが帰ってきたことにより、アミノ国に繋がる森の道を守る必要はなくなっていたシステイン。平野での戦いが始まる。
重臣たちの読み通りのコースを進むカルボキシルを、システインは明日香が残していった作戦「釣り野伏」でおびき寄せ、挟み撃ちにしていく。
最初は優勢だったカルボキシルだったが、相手には元宰相のバックスがいる。
彼が裏切っていたことを知ったシステイン軍は揺らいだ。それに加え、無敵の軍師も姿を消していた。
隙を突かれ、システイン軍は徐々にカルボキシル軍に押されはじめる。
「城下の地理を理解し尽しているバックスは、抜け道を使って王城を攻めました。虚を突かれたシステイン軍は押され、ついに王城を取られてしまいました」
「そんな」
明日香にとっては、バックスが裏切ったという事実が寝耳に水だった。まさか宰相だった彼が、裏切り者だったとは。