トリップしたら国王の軍師に任命されました。
「北西の浜から上がった敵軍は、目と鼻の先にある城を包囲しようとするでしょう。その背後から、奇襲をかける」
今いる城で敵を迎え撃つしかないと思っていた重臣たちは目を白黒させた。彼らには明日香の策が大胆すぎるものに思えるらしい。
「あんな狭い島で戦争ができるんでしょうか。我らの軍は敗走の間に数が減ってしまっている」
重臣が言うと、ペーターが地図を指さす。
「いや、狭い島だからこそ、我らに利がある。カルボキシルはいつものように大軍で押し寄せるでしょう」
ジェイルが言葉を継ぐ。
「大軍は窮屈で、身動きが取りづらくなる」
「そういうことです」
二人のおかげで、重臣たちも納得した。
「そうと決まれば、迅速に行動しましょう。あ、そうだペーター」
「何でしょう」
「あなたに頼みたいことがあるの」
首を傾げるペーターに、明日香は不敵に笑って見せた。