トリップしたら国王の軍師に任命されました。
「彼女はだいぶ落ち着いたのか?」
「ええ。一時は幽閉されて溜まっていたものが爆発してしまいました。しかし静かなところで二人きりで過ごすうち、本来の彼女が戻ってきたというか……」
アーマンドの整った顔がピンク色に染まる。ジェイルはちょっと気持ち悪いと、素直に思った。
「二人きりにしてやった俺のおかげだな。さっさと結婚しろ」
「いえ、あのでも」
「彼女の身分のことか。心配するな。お前とビアンカはカルボキシルにやることにする」
「えっ?」
カルボキシル王の娘だったビアンカを見る目は、厳しい。ジェイルは手に入れた広大なカルボキシル領の一部を、アーマンドとビアンカに統治させようと考えた。
カルボキシルの国民に受け入れられるには、ビアンカがいてくれた方がいいだろう。
「ありがとうございます……ビアンカも喜びます」
ビアンカを王女と呼ばなくなったアーマンドの表情から、ジェイルは察した。こいつら、幽閉中にデキていやがったな、と。
「そういえば、よくディケーター海賊団を味方につけられましたね。彼らは誰の支配下にも属さない、自由を愛する者たちと聞いていましたが」
陸上で戦争があっても、多くの場合は海上で傍観している。それが今までのディケーター海賊団だった。