トリップしたら国王の軍師に任命されました。
翌日、貴族の城を出たジェイル一行は、他の兵に三日遅れて、王都に帰り着いた。彼らの姿が見えた途端、街の雰囲気が変わった。
「国王陛下だ! 国王陛下のお帰りだー!」
大通りの両側に出てきた大量の人々が、ジェイル一行を歓迎した。大拍手や歓声が上がり、紙吹雪や花びらが舞う。
「わあ……」
ジェイルと一緒に馬に乗っていた明日香は、その光景に思わず見とれてしまった。
人々は先に戻った兵士たちから、システインの圧勝の報告を受けていたのだろう。
(国王として認められたんだわ)
明日香は胸がいっぱいになった。国民がジェイルを国王として受け入れてくれた。そう実感した。
それだけではない。人波の中から、こんな声も聞こえてくる。
「軍師さま! お帰りなさい、軍師さま!」
「国王陛下万歳! 軍師さま万歳!」
どうやら、明日香の存在も知れ渡っているようだ。兵士の報告だけではなく、宰相バックスやアーマンドがわざと噂を流布したのかもしれない。それでもいいと、明日香は思った。
ジェイルと自分が国民に認めてもらえた。それだけでじゅうぶんだった。