トリップしたら国王の軍師に任命されました。

 明日香は自分の耳を疑った。

(もう。もう。私たちって、バカみたいだ。同じようなことを悩んで)

 ジェイルも、変わってしまった自分でいいのか、疑問に感じていたようだ。

「そんなわけないじゃない! 立場が違っても、あなたはあなた……って、うわわわわ」

 思わず立ち上がりそうになった明日香のせいで、ボートがゆらゆらと揺れた。慌てて座り直し、へりに捕まって耐える。

「まったくお前は……その言葉、そのまま返してやる」

 はにかんで笑ったジェイルは、明日香の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。

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