リアル人生ゲーム(裏)
次の日は学校が休みだった。
亮平はもう部活に出ているらしく、未知瑠もデートだとかで、私は1人で家に引きこもっていた。
そんな私を訪ねてきたのは__。
「彰?どうしたの?」
「いや、ちょっと光莉に頼みがあって」
「頼み?」
「ああ」と言ったきり、彰は目をそらした。
なにか言いにくいことらしい。
「とにかく、上がって」
「ああ、悪い」
2階の部屋で、彰と向かい合う。
彰は大きな体を折り曲げて、小さくなっている。
「なに?頼みって。彼女になってくれとか?」
わざと戯(おど)けて言ったが、彰は笑わない。
それどころか、いきなり正座をした。
「光莉、頼む。俺に宝くじの当選金をくれないか?」
「えっ__?」
「親の会社が倒産して、どうしても3億円いるんだ。それがあったら、また会社を立て直せる」
そう言って、彰が頭を下げる。
「ちょっと、頭を上げて!」
「頼む!」
「起きてってば!」
いくら引き起こそうとしても、彰は動かない。
私が「渡す」と言うまで、頭を下げ続けるだろう。
私はいいけど、あの3億円はみんなのものだ。
6人で割って、1人頭5000万円。それを3億円ぜんぶってわけには__。