リアル人生ゲーム(裏)
返す言葉がなかった。
未知瑠の言うことは全部、本当だったから。
私が参加者の名前を勝手に書いたから、今こんな目に遭っている。
みんなを苦しめているのも、元を正せば私だ。
でも、どうしても謝ることができない。
私に隠れて付き合っていた2人に頭を下げるなんてこと__。
「とにかく、ゴールするしかないだろう」
険悪な雰囲気だったが、彰が助けてくれた。
もう、私の味方は彰だけだ。
未知瑠はずっと私を睨んでいるし、亮平も私とは目を合わせない。いまだに板垣はぶつぶつ文句を言っているし、友美は黙っている。
「サイコロ、投げろよ」
彰が優しく手渡してくれた。
今日のゲームは私で最後だ。
せめて、せめて私が1番にゴールをすれば、少しでも気が楽になるかな?
サイコロを胸に、大きな目が出るように祈った。
シーンと静まり返っている。
昨日までなら「光莉、頑張って!」と未知瑠が応援してくれたのに__。
そして私は、ふと気づいたんだ。
もし、マス目に変化があったら?
悪い目が出て、それを避けるために指令書を引くだろう。
でも、みんなはその指令を守ってくれるのか?
わざと、破るんじゃ?
そんなことを考えていたら、怖くてサイコロを離すことができない。
「光莉、どうした?」
彰が、彰だけが優しい眼差しだ。
あとのみんなは__絶対に指令を破る。