リアル人生ゲーム(裏)
「犬は机に座らないわよ?」
床に散らばったドックフードを呆然と見つめる由佳に、友美が冷たく言い放つ。
完全に叩きのめす気だ。
「お仕置きが必要かしら?それとも、爆弾?」
例のパワーワードに、由佳がひっ‼︎と息を飲み込む。
助けを求めて周りを見回すが、救いの手を差し伸べるものは誰もいない。
【犬になる】
それが、現実になろうとしている。
全員が敵だと知った由佳の顔から、表情が抜け落ちた。
椅子から立ち上がると、すぐに膝をついてドックフードに手を伸ばす。
その手を、友美が踏んだ。
「犬は、手で食べないでしょ?」
そう言ってぐりぐりと踏みつけると、由佳の顔が苦痛に歪む。
けれど、従うしかないんだ。
【犬】になるしかない。
僅かに口を開けながら、床に落ちているドックフードをそのまま食べる。
その瞬間、由佳の目から涙が一筋、流れた。
こんなの、ダメだ。
友美は自分がいじめられた仕返しをしているつもりだろうが、ただの脅迫じゃないか?
でも私が犬にならなくてすむのなら、それでいい?
由佳が憎たらしかったから、ちょうどいいじゃないか。
いい気味だ。
いい気味じゃないか。
でもやっぱり__。