リアル人生ゲーム(裏)


お昼休み、私は教室を抜け出した。


ある【荷物】を抱えて校舎裏にやってきたんだ。


お目当の焼却炉の前まで来ると、紙袋に入った箱を取り出す。


それは、リアル人生ゲームのボードだった。


今さらかと思わないでもないが、燃やしてしまおう。


効果があるかは分からない。


でも、あのまま友美にやりたい放題されたらたまらない。


ひょっとしたら、燃やしてしまえばゲームは終わるかも?


そんな淡い期待を胸に、ボードを燃え盛る炎の中に投げ入れた__。


「おいっ‼︎何してるんだ!」


「えっ⁉︎」


「おかしなもの勝手に入れるんじゃない!」


用務員のおじさんが、鬼の形相で立っていた。


慌ててボードを紙袋にしまう。


「家から出たゴミを持ってくるんじゃない!」


「__すみません」


逃げるようにその場から立ち去った。


仕方なく教室に戻ると、すぐに彰が駆け寄ってくる。


「蜂に、刺されたらしい」


亮平から連絡があったらしく、病院に運ばれたそうだ。


やっぱり、逃れられない。


手にぶら下げた紙袋が、ずしりと重たく感じられる。


「おい、光莉!どこ行くんだ?」


彰の声を背に受けて、私は教室を飛び出していた。


再び、焼却炉の前に。


< 179 / 265 >

この作品をシェア

pagetop