リアル人生ゲーム(裏)
お昼休み、私は教室を抜け出した。
ある【荷物】を抱えて校舎裏にやってきたんだ。
お目当の焼却炉の前まで来ると、紙袋に入った箱を取り出す。
それは、リアル人生ゲームのボードだった。
今さらかと思わないでもないが、燃やしてしまおう。
効果があるかは分からない。
でも、あのまま友美にやりたい放題されたらたまらない。
ひょっとしたら、燃やしてしまえばゲームは終わるかも?
そんな淡い期待を胸に、ボードを燃え盛る炎の中に投げ入れた__。
「おいっ‼︎何してるんだ!」
「えっ⁉︎」
「おかしなもの勝手に入れるんじゃない!」
用務員のおじさんが、鬼の形相で立っていた。
慌ててボードを紙袋にしまう。
「家から出たゴミを持ってくるんじゃない!」
「__すみません」
逃げるようにその場から立ち去った。
仕方なく教室に戻ると、すぐに彰が駆け寄ってくる。
「蜂に、刺されたらしい」
亮平から連絡があったらしく、病院に運ばれたそうだ。
やっぱり、逃れられない。
手にぶら下げた紙袋が、ずしりと重たく感じられる。
「おい、光莉!どこ行くんだ?」
彰の声を背に受けて、私は教室を飛び出していた。
再び、焼却炉の前に。