リアル人生ゲーム(裏)
失笑がわいた。
さすが佐野友美だ。
なにをやらせても鈍臭くて、グズで、クラスの誰からも相手にされていない、陰気の塊だ。
今も、腰まである黒髪が顔をほとんど覆い、どこかの井戸から這い出てきそうに見える。
のっそり一マスだけ進む。
すると__。
マス目の角が浮き上がり、ゆっくりとめくれた。
「えっ⁉︎」
そこに書かれてある言葉に、私たち全員が驚く。
【7マス進む】
そう書かれてあったからだ。
これで一気に、佐野友美がトップに躍り出た。
佐野友美のくせに。
恐る恐るといった感じで、私の横を通り過ぎてマス目を踏んだ。
「うそでしょ⁉︎」
私は思わず、声を荒げる。
友美のマス目から、またしても文字が現れようとしているからだ。
脅えた様子で足元を見下ろしている友美だったが、次の瞬間、笑い声が起きた。
失笑レベルじゃない。
いつものように、笑い者にされたんだ。
だって、友美のマス目には__。
【スカウトされて、モデルになる】とあった。
友美は俯いて動かない。
その上に乗っているだけでも、恥ずかしいはずだ。
お前がモデルなんて、なれるわけねーし!