リアル人生ゲーム(裏)
その日の夜、彰からメールが届いていた。
未知瑠は命に別状はなく、退院できるらしい。
眠る前に、スマホのラインを開いた。
私と未知瑠、亮平と彰、4人のグループラインだ。
誰かが呟くと、すぐに誰かが返事をして、少し気を抜くと瞬く間に件数は100件を超える。
冗談めいたやり取りを眺めているだけで、楽しかった。
【未知瑠、大丈夫?】
小1時間、迷いに迷ったが、送信ボタンを押す。
すぐに既読は3件となる。
スマホを見れるくらいの、軽傷なんだ。
少しだけ気が楽になったが、いつまで経っても返事はない。
亮平も彰も、未知瑠に遠慮しているのかスタンプすらなかった。
この場に相応しいスタンプなんて、無いけれど。
【ごめんね】
とりあえず素直な気持ちを言葉にしてみたが、どうしても最後の送信ボタンが押せない。
私はずっと友達だと思っていた。
未知瑠が1番の親友だと。
その親友に裏切られたんだ。
許せなくて当たり前だが、私がボタンを押すことができない理由は、別にあった。
【ごめんね】ですむだろうか?
だって未知瑠は、蜂に刺されたんだ。
私なんかよりずっと、おしゃれで美容に気を遣っていた未知瑠は__【顔】を蜂に刺されたんだ。