リアル人生ゲーム(裏)
「久しぶりだな」
そんな声に顔を上げると、彰が私を見つめていた。
「光莉の笑った顔」と続ける。
そういえば、そうかもしれない。
ここのところずっと、笑っていなかった。
笑顔を浮かべることなんて、なかったんだ。
「そうやって笑ってろよ。性格きついの隠れるんだから」
「ちょっと、最後の余計なんだけど?」
「図星だからか?」
「ていうか、生クリームついた口で言われても説得力ありませんから」
そう指摘すると、彰が慌てて唇についたクリームを拭う。
少しだけ、顔が赤くなっている。
それがまた可笑しくて__彰の気遣いが嬉しくて。
彰は、ずっと私の味方だった。
これまでも、多分これからもずっとそうだ。
「ありがとう」
「礼はいい」
ぶっきら棒に言うと、彰は最後のパンケーキを平らげてから「礼はいいから、俺と付き合ってくれ」といきなり告白してきた。
「えっ、でも__」
「もうすぐゲームが終わる。そしたら、答えを聞かせてほしい」
真剣な眼差しは、私の心を串刺しにする。
もう、亮平とは元に戻れない。
戻りたいという気持ちも、私の中にはない。
それなら彰の真っ直ぐな気持ちに応えたほうが、幸せになれる?
このゲームが終われば、幸せが__。
「わかった」