リアル人生ゲーム(裏)
言葉が出ない。
両手で口をおさえ、私は息すら止めていた。
少しでも口を開こうものなら、叫んでしまいそうだ。
それくらい、未知瑠の顔は異様だった。
右目は落ちくぼみ、頬は異常に腫れ上がって、そのせいで唇が口裂け女みたいに引っ張られている。
でも1番は、左半分が未知瑠のままだからだ。
半分は可愛くて綺麗な未知瑠で、もう半分が化け物。
2つの顔が合わさっている様は、異様としか言いようがなく__。
「ねぇ、笑えてる?」
未知瑠が、近づいてくる。
確かに左の未知瑠は、笑顔だった。
右の未知瑠も、伸びきった唇が微笑んでいるように見えなくもないが、あまりに醜くて目をそらしてしまう。
「よく見てよ!私が笑えてるか、ちゃんと見て教えてよ!」
「__いや」
「私を見てよ!」
「いや!」
肩に手を置かれた拍子に、未知瑠のほうに向き直ってしまった。
ビー玉のような目が、私を見ている。
すぐにでもここから逃げ出したかったが、足が床に張り付いて動かない。
射すくめられて動かないんだ!
「ずるくない?」
「えっ__?」
「私が笑えないのに、光莉だけ笑顔なんて。そんなの、ずるくない?」
「未知瑠、やめて」
「ずるいよね?だって私たち【友達】だもんね」
そう言って、未知瑠はナイフを取り出した。