リアル人生ゲーム(裏)


「いやっ、いや__」


首を振って後ずさりする由佳だったが、見えないなにかに引きずられるようにマス目を進む。


懸命に逃げ出そうとしているが、逆らうことができないんだ。


出した目を進むしかない。


「だ、誰か助けて!誰かっ⁉︎」


首だけをよじって振り返るが、私たちは全員が目をそらした。


いや、友美だけは瞬きもしないで由佳を見ている。


これから死ぬ、由佳のことを。


「アイテムとか使って助けてよ‼︎」


2マス目を踏んだ由佳が叫ぶが、どうすることもできない。


確か未知瑠は【リターン】、亮平は【ダーツ】を持っているが、今さら助けられない。


友美が【爆弾】を使っても同じこと。


私の持っている【チェンジ】で入れ替わることができるが__。


入れ替わるつもりはない。


「いやっ!お願い!」


そう言って足を突っ張るも、進む力には敵わない。


とうとう3マス目を踏むと、燃え盛る炎で由佳の顔が明るく照らされる。


そして。


炎に引き寄せられるように、4マス目に到達する。


しばらくは何も起きなかった。


悪魔のこけ脅しかと思ったが__。


「あつっ、あづい、あぁあああづぃいいいー‼︎」


由佳の断末魔の叫びが響き渡った。


炎に包まれた由佳はでも、マス目の中に囚われたまま焼けていく。


< 214 / 265 >

この作品をシェア

pagetop