リアル人生ゲーム(裏)
「光莉、もう一度、やり直さないか?」
私の手を握ったまま、力を込める。
温かい。
少し汗をかいている。
亮平は見た目のクールさからは想像もつかないくらいの、汗かきだ。
緊張しているのか、額に汗が浮かんでいる。
こんなにも寒いというのに__。
「あいつ、俺を責めるんだ。あの日、蜂に刺された日、家の中に閉じこもっただろ?でもどうやら、俺が蜂を中に持ち込んだっぽいんだ。だから、俺が悪いって、なにかにつけて責めてくるんだ」
私の手を握りながら、亮平は未知瑠の話をする。
「あいつ異常なやきもち焼きで、それが刺されてからひどくなって__あんなことになって、俺、どうしていいかわかんないだ」
あんなこと?
そこだけが引っかかった。
「もうあいつは戻ってこないし、あっ、だからってこんなこと言ってんじゃない。俺はやっぱり、光莉のほうが__」
「亮平」
「ん?」
「見た?」
「__見た?」
「うん。未知瑠の顔、見た?」
私がそう尋ねると、しばらく考え込んでいた亮平は「あぁ」とだけ言った。
あの顔を見たら、誰でも逃げ出すだろう。
いや、違う。
彰なら、逃げなかったんじゃないか?
たとえ私の顔半分が化け物になっても、彰なら守ってくれたんじゃないか?