リアル人生ゲーム(裏)
「もうあと、3回くらいかな?それでいよいよゴールだよ!」
ボード上、それぞれのマス目に立っている私たちに、悪魔がはしゃいで言った。
その表情は、どこか嬉しそうだ。
「まさか君たちが、ここまでゴールに近づくとはね。僕も久しぶりにゴールが見られるかもしれない」
「久しぶりに?」
「うん、そうなんだ。このリアル人生ゲームは、ゴールしないまま終わることがほとんどさ」
「それはゴールしにくいように、予め細工してあるからでしょ?」
私はそう言って、ゴール手前で踊っている炎を指差した。
一発でゴールできない仕組みになっている。
そりゃ、あそこを乗り越えるのは至難の技だ。
けれど悪魔の答えは違った。
「そうじゃなくて、殺し合いをするからさ」
「殺し合い?」
「そう、現実世界で殺し合って、ゴールするまでに誰も居なくなる。それがいつものパターンさ」
悪魔の言葉に、私たちは押し黙った。
半分は、既にそうなっているからだ。
でも、最小であと3回。
3回、サイコロを投げれば終わる。
ようやく、ゲームから解放されるんだ。
失ったものは大きいが、自由になれる。
「じゃ、始めようか?」
悪魔が笑顔でサイコロを放った。