リアル人生ゲーム(裏)
未知瑠が③を出して進む。
マス目に変化はなかった。
次は亮平だ。
サイコロを受け取ると未知瑠__ではなく、私のほうを向いて頷く。
それで未知瑠は気づいただろう。
「ちょっと、亮平⁉︎」
今にも食ってかからん勢いだったが、勝手にマス目を戻るのは許されていない。
代わりにぎりぎりと歯ぎしりしながら、私を睨みつける未知瑠。
さぞ悔しいだろう。
そして亮平がサイコロから手を放す寸前__。
「亮平、待って」
私は声をかけて止めた。
「③を出して」
「えっ?」
「③。そしたら、一気にゴールできるから」
私がそう言うと、全員が「えっ⁉︎」と驚く。
私を睨みつけていた未知瑠でさえ、空気が柔らかくなったほどだ。
「前のターンで見たの。双眼鏡を使って、どんな目か確かめた。亮平の3マス先は【20マス進む】って。だから③を出せば、もうゴールできる」
「マジかよ」
「うん。このゲームが、終わる」
けれど問題は、③が出るかということ。
6分の1の確率だ。
亮平のサイコロを持つ手に力が入るというもの。
再び投げようとしたその時「待って!」と、再び止めた。
「亮平は③を出せるよ」
私は自信を持ってそう言った。
だって亮平は__。
「【ダーツ】があるでしょ?」