リアル人生ゲーム(裏)


「えっ⁉︎」


友美が眉間に皺を寄せる。


炎が間近に迫っており、顔が赤く光っていた。


「どうする?爆弾くれるの?それとも、そのまま焼け死ぬ?」


「そ、それはっ__」


と、素直に渡す気はないらしい。


それも無理はない。


だって【爆弾】は、友美のお守りだ。


それがなくなれば、真っ裸で外に放り出されるようなもの。


拠り所であり、鎧であり、唯一の友達、それが友美にとっての爆弾であって、それを引き渡すのは抵抗があるんだ。


「嫌なら別にいいけど?じゃ、どうぞ焼け死んだら?」


「ま、待って‼︎あげるっ、あげるから!」


「最初からそう言えばいいのよ」


私は悪魔に向かって「アイテムの【チェンジ】を使う」と伝えた。


「それじゃ、光莉が炎に焼かれるじゃないか!」


心配してくれるのか、亮平が止めに入ってきた。


「いいのよ、私は前のターンで【アーマー】を使ったから」


「【アーマー】を?」


「そう、だから3ターンはボード上の攻撃を無効にできる」


だから友美と入れ替わっても、問題はない。


悪魔の指示で場所をチェンジし、炎の中に我が身を投じた。


熱くない。


そしてしばらくすると、炎が消えていく。


次は、私の番だ。



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