リアル人生ゲーム(裏)
「まだ残ってるでしょ?」
私は、先頭の友美に尋ねた。
ギャンブルするわけでも、彼氏がいて着飾るわけでも、ブランド好きでもない友美は、まるまるお金が残っているはずだが__。
視線をそらすと、チラッと私の後ろを見た。
私の後ろに居るのは、1人しかいない。
「ちょっと、まさか借りたの?」と、ビリの板垣に詰め寄る。
「こ、これで3億円とれるからいいじゃないか」
「信じられない!」
「頼りにしてるからな」
見当違いの励まし方をされ向っ腹が立ったが、みんなの期待が向けられているのが分かった。
どうやら私たちは、あれを手に入れなければならないようだ。
「未知瑠、そのマス目はどこ?」
「えーと」
双眼鏡を覗いた未知瑠が「ゴールから、いち、にい__」と数え始め「8マス目」と答えた。
「え、でも待って。なんか、あっ、切れた」
どうやら双眼鏡が見えなくなったらしい。
未知瑠は首を傾げ、なにやら考え込んでいるようだったが、とにかく止まるしかない。
【3億円】のマス目に。
止まるしかない。
「はい、サイコロ。どっちみち今回は⑥が出ても3億円にはまだ届かないから気楽にね」
天使から、サイコロとアドバイスを受け取った。