リアル人生ゲーム(裏)


「やるじゃん‼︎」


未知瑠が抱きつき、彰と亮平がべしべしと容赦なく板垣を叩いている。


「やめろよ!」と顔をしかめてはいるが、どこか嬉しそうだ。


真面目で融通のきかないクラス委員には、これまで誰も寄り付かなかった。


それがここまで仲良くなるなんて。


板垣が順番のバトンを、友美に回す。


「アイテムの【プレゼント】使います」


「誰にー?」


天使の言葉に、友美が俯いた。


「あの、えっと、あ__ひ、光莉に」


恥ずかしそうにそう言って、私にプレゼントをくれた。


天使からサイコロを受け取る。


これは、みんなの思いが詰まったサイコロだ。


未知瑠が15マス戻れることを思い出し、亮平がパスをし、彰がダーツで狙い通りの目を当て、板垣がゴールしないよう①を出し、友美がプレゼントをくれた。


「アイテムの【サイコロ】を使う」


もう1つ、サイコロを手にした。


3億円までは11マス。


12でもダメだ。


ぴったり11を出すには、⑤と⑥を出さないといけない。


それはとても難しいことで__。


「光莉!頑張って!」


「出したらデートだ!」


「お前ならできる!」


「僕の奇跡を無駄にするな!」


「が、頑張って!」


みんなが応援してくれている。


やるしかない。


私ならできる。


だって私は、サイコロの達人なんだから。


< 58 / 265 >

この作品をシェア

pagetop