リアル人生ゲーム(裏)
「若いから、腎臓も元気がいいだろうねぇ」
けけけ、と皺だらけの顔がくしゃっとなる。
「冗談、でしょ?」
「じゃ、お嬢ちゃんは冗談で万引きしたのかい?」
「それは__」
私が押し黙ると、婆さんは老眼鏡を外して首を回した。
「そもそも、なんでこんなつまらないことやるのかねぇ?」
「__退屈、だから」
怒られるのを覚悟で、正直に答えてみた。
「毎日が退屈で、学校とかも大して楽しくないし、スリルが欲しいっていうか、でも援交とかは違うし、こう単純に面白いことないかなって感じ」
「随分とまた、正直だねぇ」
婆さんがけらけらと笑った。
どうやら、ウケたらしい。
「ちょっと待っといで」と、腰を90度に曲げたまま店の奥へ行ってしまった。
逃げるなら、今のうちか?
いや、ばばあは何故か私の名前まで知っている。
犯行の瞬間も撮られているし、逃げてもムダだ。
諦めて待っていると、なにか大きな箱を持って戻ってきた。
「これ、やるよ」
「え、くれるの?」
思わず受け取ってしまった。
てっきり、これまで万引きしたものの代金を払わされると思ったのに、まさかなにか貰うなんて。
薄くて四角い箱に入ったそれは、とても軽く。
なにこれ?
なんかの、ゲーム?
箱の上にタイトルのようなものが__?