リアル人生ゲーム(裏)


「がっ‼︎」


慌てて吐き出すと、押さえつけていた手が緩んだ。


床に這ったまま、胃が痙攣するまで吐き続けた。


「汚っ!」


由佳が飛び退く。


怒りはない。


すぐに去っていった由佳に対する怒りよりも、私を占めていたのは【恐れ】だ。


ドッグフードをひと粒、食べてしまった__。


吐いて戻したが、喉を通ったことには変わりはない。


まさか、まさか__。


なんとか立ち上がり、よろよろと教室に戻ると「大変!」と血相を変えて駆けてくる未知瑠とはちあった。


「光莉、大変!亮平が、亮平が!」


涙を流している未知瑠を見た時、私はぜんぶを悟った。


亮平が【骨折】したのだと。


私が、ドッグフードを食べてしまったために。


亮平は救急車で運ばれ、未知瑠によると階段から転げ落ちて腕を骨折したらしい。


「私のせい」


「違うよ、光莉のせいじゃないって!」


私の話を全部聞いた上で、未知瑠が味方をしてくれる。


「でも、私が__」


「だから違うって!」


未知瑠が私の手を、痛いほど強く握ってきた。


たとえ食べるつもりがなくても、指令を破ったから亮平が骨折をしたんだ。


私は後ろを振り返った。


そこに由佳がいる。


絶対にあの女、許さない。


私は友美とは違う。


やられたら、やり返す。


何倍、何十倍にしてでも。


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