リアル人生ゲーム(裏)
彰の親の会社は、建築関係だと聞いている。
経営は順調らしく、たくさんの従業員を抱えていると言っていた。
「指令を守れば問題ない」
そう言って、悪魔が差し出す箱に手を入れる。
もしまた【飲み食いしないこと】が出たら?
誰もがそう思い、息を飲んでいるのが分かった。
さすがに3日は無理だ。
2日だって無理だったんだから__。
彰が引いた指令書、それは?
【参加者全員、次のゲームまで声を出さないこと】
声を、出さない?
それならいけるんじゃないか?
ご飯を食べない、水を飲まないよりはよっぽどマシだ。
みんなもそう思ったのか、肩から力が抜けている。
「これでご飯、思いっきり食べれるってことね」
未知瑠が早速、あれ食べたいこれ食べたいと言い出し、みんなが口々に1番はじめに何を食べるかで騒がしくなる。
ようやくご飯が食べられることに、少しだけ張り詰めていた雰囲気が優しくなった。
板垣がサイコロを投げて進む。
1つだけ分かっていることは、マス目を前進しているということだ。まだ半分にも達していないが、確実にゴールに近づいている。
いつか終わる。
いつか終わるんだ。
その後、マス目に変化はなく私たちは解散した。
絶対に声を出さないことを、誓い合って__。