リアル人生ゲーム(裏)
「まさか、あなたまで声が出ないとか言わないわよね?」
目を細めて、悪戯を見つけたように友美を追い詰める。
立ち上がった友美は、答えることなく突っ立ったまま。
答えられるはずがない。
声を出せば、彰の会社が倒産してしまうのだから。
「あなたが答えるまで、授業は終わりませんよ」
先生がそう言うと、クラス中からブーイングが沸き起こる。
かといって、私たちに止めることはできない。
「早くしなさいよ。みんな迷惑してるんだから」
池岩由佳が、さらに追い討ちをかける。
それを合図に、クラスメイトが意地悪な言葉を友美に浴びせていく。
友美は今にも泣きそうだった。
「っ__」
思わず声が出そうになる。
由佳も先生も、クラスのみんなも、よってたかって友美を追い詰めて面白がっているだけだ。
すぐにでも怒鳴ってやりたいが__。
バン‼︎
思いっきり机を叩いた彰が立ち上がると、教室は静まり返った。
彰に睨まれると、誰もが目をそらす。
先生でさえも。
「自己管理も大切よ。気をつけなさい」
授業が再開する。
なんとか、喋らないですんだ。
このまま、口を開いちゃいけない。
大丈夫。
大丈夫__の、はずだった。