恋の宝石ずっと輝かせて
「それじゃ、また後で」

 ユキは仁と自分の教室の前で別れた。

 トイラとキースは先に席についてる。

「アノコ ト ナニ ヲ ハナシテ タノ?」

 キースがトイラの代わりにきいてやった。

 トイラは外の景色を見ているふりをして、耳だけはユキに向けていた。

「えっ、別に。向こうが話してくるから聞いてただけ」

 ユキがかばんから教科書とノートを出し、机に入れたときだった。

 空っぽのはずが、何かに当たった感触がする。

 ユキは手探りで確かめてたとき、はっとした。

「痛っ」

 咄嗟に手を出すと、指先から赤いものが盛り上がってゆっくりと垂れていく。血だ。

 その匂いに反応したトイラとキースが振り返る。

「ユキ、ドウシタ」

 キースが聞いた。

 ユキが机の中を覗き込むと、刃が一杯に出されたカッターナイフが目に入る。

 顔は青ざめ、使い方を間違えれば凶器にもなりえるものだけに、自分の机の中にそれが刃をむき出しに入っていたことは、背筋が凍るくらい恐怖を感じた。

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